(1)應援團長の羽織
(1)應援團長の羽織
(2-a)旧制二中制帽※映画「海軍」(松竹版)の一場面。主演の山内明。
(2-a)旧制二中制帽※映画「海軍」(松竹版)の一場面。主演の山内明。
(2-b)旧制二中制帽※映画「海軍」(東映版)の一場面。主演の北大路欣也。
(2-b)旧制二中制帽※映画「海軍」(東映版)の一場面。主演の北大路欣也。
(3)甲南高校男子制帽※現在廃止
(3)甲南高校男子制帽※現在廃止
(4)のぼり
(4)のぼり

解説

※「甲南」各号、創立百年(鶴丸高校、平06=1994)を基に構成。
上部写真(1)のとおり、甲南高校應援團長の羽織には白線三本(以下三本線)がありますが、三本線には以下のとおり2つの意味があります。


【A】直近の前身である旧制二中と二高女の伝統
【B】戦後に旧制中(等)学校を統合して1年間だけ存在した「鹿児島県鹿児島高等学校」の系譜

上部写真(2-a)(2-b)は旧制二中出身者が主人公の映画「海軍」の一場面で、(2-a)は松竹製作(1943年公開)、主演は山内明、(2-b)は東映製作(1963年公開)、主演は北大路欣也。二中校章と白線一本が付いた制帽が見えます(海軍についてはこちらも参照)。これは、旧制第七高等学校造士館の制帽が白線二本だったことによります。こちらで述べたように、鹿児島県の学校教育草創期においては、中等教育(旧制中学=新制中学+新制高校)と高等教育(旧制高校=新制大学)の歴史が重複しています(鹿児島高等中学造士館本科=旧制高校=新制大学、予科・予科補充科=旧制中学=新制中学+新制高校に相当)。その後、高等中学が廃止され県管理の中学造士館となりましたが、旧制高校を鹿児島に設置することになり、生徒は県立中学校(のちの一中、現鶴丸高校)所属の新設分校(後年に現在地=上之園町へ移転するまでは七高内にあった)に収容され、造士館の名称と校舎は旧制高校(七高造士館)のものとなりました。こういった経緯から、のちに分校が二中になる際、生徒たちの発案で、「鹿の角」 の校章ができるとともに「七高の弟分」として制帽に白線を一本だけ付けることになりました。これが白線の伝統の始まりです。

戦後、二中は鹿児島県鹿児島高等学校第四部、二高女は同二部と改称します。このときの制帽は鳥類の翼をX字に配した校章に白線が三本ありました。わずか1年で同校は再編され、第四部と第二部が統合し現在の甲南高校になりますが、男子の制帽(上部写真3)や女子の制服は、二中以来の白線の伝統を受け継ぎ、二中・二高女・甲南の三校を表すとともに鹿児島県鹿児島高等学校の系譜(注)を示す三本としました。かつてスクールカラーが緑だったころの應援團旗には、V字型の白線三本が配されていました。現在の團旗に三本線はありませんが、のぼり(上部写真4)には三本線があります。なお、三本線を横に引くときは同じ長さではなく、甲南を表す一番下の線は、先輩(二中・二高女)に敬意を表して短く描かれます。

(注)鹿児島県鹿児島高等学校は
第一部=旧工業学校=現鹿児島工業
第二部=旧二高女==現甲南
第三部=旧一高女==現鶴丸
第四部=旧二中===現甲南
第五部=旧一中===現鶴丸
で構成されていました。関連記事はこちらを参照

リンク

甲南同窓会+サラト(平成18=2006)
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鶴丸36期同窓会+山形屋(平成27=2015)
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