冒頭掲出の画像は、第49回甲鶴戦を報じた南日本放送(MBC)の映像キャプチャーである。「通算22勝で勝ち越し」とある。第49回は平成31(2019)年4月16日(火)に開催され、その15日後の5月1日(水)令和元年が、御譲位によって始まった。改元直前の甲鶴戦ということで、開催前には特に甲南高校側によって地元メディア、ネット上その他の発信で、「優勝回数が同数」ということが喧伝された。

 当サイト管理者は当時から疑問に思っていた。両校刊行物を精査しても、特に一けた台の大会は記録を確定できないからである。当サイトの「記録」を構築するにあたって参考にしたのは『年誌 甲南』『はろばろと』や両校の学校新聞であるが、中でも特に『甲南 第35号 創立八十周年記念特集号』は昭和期の詳細を記してある。

 

【未確定を含めた総合優勝回数表】

年誌『甲南 第35号』
年誌『甲南 第35号』

 なぜ48年後に学校側が「確定」できたか。第三者が閲覧確認できる史料/資料として両校刊行物(年誌・印刷配布物・周年記念誌)があるが、ほかに、教職員特有の史料/資料として教務日誌がある。特に学校編纂の周年記念誌は教務日誌が一級史料/資料であり、それをもとに確定したと推測できる。ところが、鶴丸の『創立百周年記念誌』や『甲南 第35号 創立八十周年記念特集号』には確定できない旨、記されている。

 先達教職員の見落としも考えられるが、おそらく、平成最後の大会ということで話題にするため、両校代表者(校長・教頭・生徒会顧問教諭)によって優勝同数として手を打ったのであろう。仮にそうであるなら、このような手法は感心しない。平成最後の甲鶴戦当時は、甲南高校校長が公立高校初の女性校長として地元メディアに持て囃されていた。定年退職時には冒頭画像の南日本放送(MBC)が特集番組を組んだほどである。なお彼女は甲南OGにして英語教諭。甲南高校教頭を経て母校の校長になった。彼女が校長になった途端、優勝回数が同じなどという宣伝が始まった。メディア戦略が巧妙なのか。筆者は今も甲南の女性校長が言い始めた優勝回数に疑問を持っている。

鶴丸『創立百周年記念誌』
鶴丸『創立百周年記念誌』
鶴丸『創立百周年記念誌』
鶴丸『創立百周年記念誌』
鶴丸『創立百周年記念誌』
鶴丸『創立百周年記念誌』

リンク

甲南同窓会+サラト(平成18=2006)
甲南同窓会+サラト(平成18=2006)
鶴丸36期同窓会+山形屋(平成27=2015)
鶴丸36期同窓会+山形屋(平成27=2015)